映画【ダウントン・アビー】あらすじと見どころ。惜しまれながらファイナルを迎えたイギリス傑作ドラマ【ダウントン・アビー】が映画になって帰ってきました。テレビシリーズ完結から2年後、それぞれが新しい生活をスタートさせていたダウントン・アビーに驚きの知らせが舞い込んできます。
【ダウントン・アビー】あらすじ
ヘンリーと再婚したメアリーは、父ロバートと共にダウントン・アビーの経営に忙しい日々を送っていました。
そんなある日、バッキンガム宮殿からダウントン・アビーに一通の手紙が送られてきます。
手紙には、国王夫妻が巡業でヨークシャーを訪れ、その間ダウントン・アビーに滞在すると書かれていました。
その知らせを聞いたダウントン・アビーの使用人たちは浮足立ち、クローリー家の人々は受け入れ準備に大忙しとなります。
また、料理長のパットモアは、自分たちの料理が国王夫妻の口に入ると大喜びしました。
ところがその後、料理や国王夫妻の世話はすべて、夫妻に同行する執事やシェフが一切取り仕切るとの知らせを受け、シェフはもちろん使用人たちも落胆してしまいます。
そんな中、国王夫妻専属のシェフと執事たちが一足先にやってきました。
彼らの高飛車で傲慢な態度を目にしたメアリーは、ダウントン・アビーの執事がバローでは力不足だと、引退したカーソンを一時的に復帰させ当面の指揮を任せます。
しかし、カーソンですら王国専属執事たちを制御できず、ダウントン・アビーの使用人たちは屈辱的な扱いに不満を募らせていったのです。
一方で、侍女アンナはダウントン・アビーの名誉を守るべく、全ての給仕を取り戻そうと他の使用人を集め作戦会議を開くことに。
メアリー王妃の侍女として、モードが来ることを知ったヴァイオレットは難色をしめします。
モードとヴァイオレットは従妹でしたが、ある事をきっかけに何十年も音信不通となっていました。
それを知ったイザベルは2人の確執を解消しようとしますが、実はモードはヴァイオレットも知らなかった秘密を抱えていたのです。
【ダウントン・アビー】見どころ
使用人たちの仕事奪還大作戦
国王夫妻がダウントン・アビーに滞在するというのに、裏に追いやられて出番なしの使用人たち。
ダウントン・アビーを離れていたモーズリーも、知らせを聞きつけ自分も給仕する気満々です。
”店の品物が国王に渡る”と、感極まっている町の雑貨屋の主人をみて、自分の気持ちより主人に本当のことを言えずに申し訳なくなってしまうパットモア。
そんな暗いムードを打ち砕いてくれたのがアンナでした。
アンナは、ダウントン・アビーの従業員たちをワインセラーに集め、料理も給仕も食材も全部自分達で取り仕切る計画を提案。
不満が爆発寸前だった従業員たちは一致団結して、国王専属執事を表立ってもめる事なく追い出す作戦を決行し、みごと仕事を取り戻すことに成功したのです。
*
王室の制服を着て夕食の給仕をしたモーズリーが浮かれすぎてやらかしてしまうシーンは、コメディ的なシーンがあまりない中で印象的なひとコマでした。
このモーズリーの失礼な態度にコーラは「理由はどうあれ、許されません」と国王夫妻に謝罪します。
しかし、「私たちが近づくと人は挙動不審になってしまうのよ。」という、国王夫人の機転の利いたフォローの言葉には思わず納得です。
モードの秘密
ヴァイオレットとイザベルのやり取りは映画の中でも健在。
”仲が良いのか悪いのか”といった2人ですが、今回もヴァイオレットがイザベルを陰で支えることで最終的に良い方向へと向かっていきます。
モードとヴァイオレットは何十年ぶりの再会。
ヴァイオレットの息子でダウントン・アビーの後継者であるロバートは、モードの父方の一番近い親戚なので、通常であれば夫と子どもを持たないモードの後継者はロバートということになります。
しかし、数十年前にモードがロバートを後継者にしないと宣言したことで、ヴァイオレットは激怒しそれ以来モードとは断絶状態になっていました。
今回、偶然にも再会する機会が訪れたのでイザベルは2人の仲互いを解消させてあげたいと思っていましたが、モードが未だにロバートを後継者にしないという考えを変えていないことが判明。
更に、後継者は自分のメイドとして長年つかえてくれているルーシーにしようと考えていることを知り、ヴァイオレットは言葉を失います。
怒りに震えるヴァイオレットとは反対に、冷静に事を見守っているイザベルはあることに気づいていました。
実はメイドのルーシーはモードの実娘だったのです。
モードの部屋を訪れ事の全てを知ったイザベルは、モードにヴァイオレットに真実を告げることを薦めます。
ヴァイオレット自身も色々な過去を背負っていることを知っているイザベルは、ヴァイオレットは必ず味方になってくれると確信していました。
イザベルの予想通り、ヴァイオレットはモードの秘密を知って理解を示したものの、それだけで終わらないのがヴァイオレットです。
相続問題を自分サイドにも損のないように進めていく案を思いつきます。
みんな幸せな道へ
ドラマのファイナルでもメアリーやイーディスは新しいパートナーを見つけ、アンナ夫妻は子どもを授かりハッピーエンドとなっていました。
映画では、ドラマで保留となっていた亡きシビルの夫トム、キッチンメイドのデイジー、そしてトーマスにも幸せが待っていました。
トムはモードの娘ルーシーと良い関係になりましたが、これはヴァイオレットが企んだ自分サイドにも損のない作戦です。
もちろん、ヴァイオレットが2人を取り持ったのではありません。
彼女は後で2人の関係に気づいた事ではありますが、ヴァイオレットが味方に付けばこの2人に敵なしです。
また、デイジーも今回の一件で結婚へと踏み切る決意ができたようです。
そして、ようやくトーマスにも素敵な出会いがありました。
当時のイギリスではゲイは非合法。
世間の目を避けて生きて行かなくてはならない時代でしたから、トーマスもこれまで散々痛い目にあってきました。
トーマスは、オブライエンと共にダウントン・アビーで意地悪の限りを尽くし、嫌われ者になっていましたが徐々に仲間との信頼関係もでき、ドラマの最後ではカーソンの後を継いで執事にまで昇格することができています。
心から理解し合えるパートナーと出会う機会はなくずっと孤独を抱えていたトーマス。
そんなトーマスに素敵な出会いがあった事を、長年の視聴者たちは喜んでいることでしょう。
映画【ダウントン・アビー】感想
あの長い長いドラマを映画としてどのように描くのかと思っていましたが、みんながハッピーで終われた後味スッキリな映画となっていました。
ヴァイオレットの余命があと僅かだというところだけが、ちょっぴり悲しくなってしまいましたが。
テレビシリーズを見ないまま映画だけを見た人は、各キャラクターのこれまでの背景が分からず、通してみてきた人とは感じ方が違うかも知れません。
しかし、当時のイギリス貴族の生活スタイルや建物、服装などを見るだけでも興味深く惹きつけられると思います。
もちろん、ストーリーとしても映画のみで十分楽しめる内容となっていますので、イギリスの歴史が好きな方にはお勧めしたい作品です。
オフィシャルサイト
©2019 Focus Features LLC and Perfect Universe Investment Inc.