映画 「ハウス・オブ・ダイナマイト」キャスト・登場人物・あらすじ。監督は「ゼロ・ダーク・サーティ」「ハート・ロッカー」などで知られるキャスリン・ビグロー、脚本はノア・オッペンハイムという強力タッグによるサスペンス。核ミサイルによる未曾有の危機が迫る中、アメリカ政府の中枢で翻弄される人物たちの緊張の刻を描く本作は、政治的スリラーとヒューマンドラマの要素を併せ持つ重厚な作品となる。
あらすじ
ある日、太平洋上空から正体不明の大陸間弾道ミサイル(ICBM)がアメリカ本土へ向けて発射されていることが観測される。何者が発射し、どこへ飛んでいるのか、アメリカ政府内は混乱と疑念に包まれる。ミサイルが標的とする可能性のあるシカゴの街には、多くの命が脅かされていた。
時間との戦いの中、ホワイトハウスの司令室、戦略核部隊、国防省、FEMA(米国連邦緊急事態管理庁)など、複数の政府中枢が連携と衝突を重ねながら対応を迫られる。誰を信じ、どのような手を打つべきか。報復か抑止か、国家の選択は、最終的には限られたトップの判断に委ねられていく。
物語は「この非常事態における意思決定のプロセスそのもの」に焦点を当て、ミサイル危機を背景に、人間の心理・葛藤、制度の脆さ、権力における倫理的ジレンマを描き出していく。
登場人物|キャスト
アメリカ大統領 役/イドリス・エルバ

演:イドリス・エルバ
アメリカ合衆国大統領。核戦争における最終決定権はアメリカ合衆国大統領にある。
【コメント】
イドリス・エルバは本作についてNetflixのインタビューでこう語っている。「この映画には、人間らしさがあふれる瞬間がたくさんあるんです。大統領にとってはごく普通の一日なんですよ。靴は少しきついし、妻はケニアへ旅行中。スケジュールの最初の予定は、アリーナでバスケットボールをしている子どもたちに会いに行くことなんです。」
──しかし、その穏やかな一日のあとに何が起こるかは、誰にも予想できなかった。
オリビア・ウォーカー大尉役/レベッカ・ファーガソン

ホワイトハウス危機管理室の最上級の士官で、フロアの士官を監督する責任を負っている。
【コメント】
レベッカ・ファーガソンは、キャサリン・ビグロー監督と仕事をできることに大きな喜びを感じた。「キャスリン・ビグローが自分にこの役を任せてくれるなんて、それだけで十分光栄でした」と語る。
これまで演じてきた役柄はどれも個性的なキャラクターばかりで、今回の役では「ただの一人の人間として生きる役ができる」という点に特別な魅力を感じたという。
ジェイク・ベアリントン役/ガブリエル・バッソ

国家安全保障会議で2番目に上級のスタッフであり、国家安全保障担当大統領補佐官が任務を遂行できない場合、大統領の国家安全保障に関する主席顧問として代理を務める。
【コメント】
ガブリエル・バッソは、自身が演じるジェイクというキャラクターについてNetflixのインタビューでこう語っている。「ジェイクは勤務初日から、思いもよらない立場に追い込まれてしまうんです。彼は次々と圧力をかけてくる“あらゆる三文字機関”──つまり、FBIやCIAのような組織に囲まれ、常に説明を求められる状況に置かれます。」
さらに続けて、「この物語は権力構造そのものを描いていて、“誰も責任を取らない巨大な政府機構”の中で働く恐ろしさを浮き彫りにしているんです」とコメントしている。
ダニエル・ゴンザレス少佐役/アンソニー・ラモス

飛来するミサイルを迎撃できる地上配備型迎撃ミサイルの発射を担当する施設、アラスカ州フォート・グリーリーの第59ミサイル防衛大隊の責任者
【コメント】
ゴンザレス少佐を演じたラモスは、映画で描かれた任務を実際に行っているチームと一緒に仕事をしたことを振り返る。「STRATCOMのチームと現場でやり取りをしたんですが、完成した映画を見せたとき、あるメンバーが感極まって涙ぐんだんです。彼ら自身は同じ状況に直面したことはないけれど、実際には何度か危機的な状況があったと聞いています」とNetflixに語った。
アンソニー・ブラディ将軍 役/トレイシー・レッツ

核およびミサイル防衛作戦を含む米国の戦略軍の指揮統制を監督する国防総省の戦闘司令部である米国戦略軍(STRATCOM)の責任者
【コメント】
トレイシー・レッツは役作りの過程で、現場に帯同していた複数の専門家からサポートを受けたという。
「撮影には実際の戦略軍(STRATCOM)の方々が参加してくれていたので、彼らの知識に大いに助けられました」とNetflixの取材で語っている。
「将軍という役は、ある意味“なんでもできる存在”です。彼らと接するなかで、誰にも責任を委ねず、自分の判断で道を切り開く──そんな強い信念を学びました。」
- Tracy Letts
- 1965年07月04日生
- 米国/オクラホマ州出身
- 「
HOMELAND/ホームランド
」 - 「フォードVSフェラーリ」
マーク・ミラー提督役/ジェイソン・クラーク
ホワイトハウスの危機管理室と大統領本人との間の連絡を担当する職員
- Jason Clarke
- 1969年07月17日生
- オーストラリア出身
- 「ペット・セメタリー」
- 「オッペンハイマー」
ウィリアム・デイビス役/マラキ・ビーズリー
ホワイトハウス危機管理室におけるウォーカー大尉の右腕
- Malachi Beasley
- 1993年3月6日生
- アメリカ/カリフォルニア州出身
- 「B-Box」
- 「Fight for ’84」
リード・ベイカー役/ジャレッド・ハリス
国防総省の文民指導者であり、米国の全軍を監督し、大統領に防衛政策について助言する責任を負っている。
アナ・パーク役/グレター・リー
国家安全保障担当大統領補佐官の北朝鮮専門家。出所不明のミサイル発射について状況を説明するために休日に呼び出された。
- Greta Lee
- 1983年03月07日生
- 米国/カリフォルニア州出身
- 「ロシアン・ドール: 謎のタイムループ」
- 「トロン:アレス」
- X
ほか登場人物
ジョン・ジマー役
ミサイル攻撃への対応を担当する爆撃機のパイロット
演:カイル・アレン
キャシー・ロジャース役
ワシントンD.C.からの避難調整を担当する連邦緊急事態管理庁(FEMA)職員
演:モーゼス・イングラム
スティーブン・カイル将軍役
STRATCOM(戦略司令部、核戦略部門)関係の将校
演:ベンガ・アキナベ
ダン・バック中尉役
演:アブバクル・アリ
アリ・ジョーンズ役
二等軍曹
演:フランチェスカ・カルパニーニ
キャロライン役
ベイカー国防長官の娘
演:ケイトリン・デヴァー
ロバート・リーブス役
大統領軍事補佐官(MILAIDE)であり、常に大統領に随伴し、核フットボールを保管しています。
演:ジョナ・ハウアー・キング
ケン・チョー役
合衆国シークレットサービス長官
演:ブライアン・ティー
リリー・バエリントン役
キャピトル・ヒルの議会補佐官
演:ブリタニー・オグラディ
アメリカ合衆国大統領夫人役
演:レネイ・エリース・ゴールズベリイ
危機下の制度と“判断”を映し出すスリラー

映画「ハウス・オブ・ダイナマイト」は、核ミサイルという究極の破壊手段を背景にしながらも、むしろ“制度/組織内部での意思決定過程”と“限られた情報のなかでの人間の選択”を主題とする政治的スリラーだ。正体不明の攻撃に対して政府がどこまで準備できるか、だれが責任を取るのか、正義とは何かを問う構造が作品全体を通じて貫かれている。
また、本作はキャスリン・ビグロー監督のこれまでの作風と響き合うとも言われており、『ハート・ロッカー』や『ゼロ・ダーク・サーティ』の系譜に位置づけられる緊迫描写・リアルな軍事プロシージャ表現への回帰が指摘されている。
特に「敵が誰か分からない」「ミサイルが向かう先が確定しない」不確実性が物語の中心軸となっており、情報の非対称性が緊張を増幅させているようだ。
その一方で、各登場人物には家庭や過去、私的な葛藤も少しずつ描かれており、ただのシステム・スリラーにとどまらない人間ドラマの厚みも垣間見える。たとえば、ホワイトハウスの局員ウォーカーには子どもを抱える母親という側面も示唆される描写がある、というレビューがある。
最後に、タイトルの「ハウス・オブ・ダイナマイト(火薬庫のような家/ダイナマイトの家)」という呼称には「いつでも誘発事故が起こりうる」不安定な世界観の比喩性が込められており、国家という装置そのものが爆発寸前の緊張状態にあるというテーマ性にも通じる。
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「ハウス・オブ・ダイナマイト」(c)Netflix
紹介している作品は、2025年10月時点の情報です。現在は配信終了している場合もありますので、詳細は各公式ホームページにてご確認ください。