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毎年ノーベル文学賞が発表される季節になると村上春樹が受賞するのではと話題になりますが、実はノーベル委員会から「最もノーベル文学賞に近い作家」という評価を受けたのが安部公房です。また、ノーベル文学賞を受賞した大江健三郎は、もう少し長生きしていたら安部公房が受賞しただろうと語っています。
そんな海外での評価が高い安部公房の作品ですが、生誕100年にあたる2024年に映画化されたのが、今回紹介する映画「箱男」です。前衛的な作品からこれまで映像不可能とも言われた「箱男」ですが、原作をどのように映画化したのか、観る者にどのような印象を与えてくれるのかということを見ていくことにしましょう。
あらすじ
カメラマンであるわたしは、ある日偶然に目にした箱男に心を奪われたことから、段ボール箱を頭からかぶり、のぞき窓を開けて箱男としての一歩を踏み出すのでした。
段ボール箱の中で暮らすことで都市を徘徊し、一方的に箱の中から覗いた世界をノートに記述する箱男ですが、ある日、箱男に敵意を抱く老人の浮浪者からの襲撃を受けた際に、何者かによって空気銃で撃たれ負傷してしまいます。
その後、傷口をおさえていたぼくの箱の除き穴から、丘の上に病院があるわよとお金が振り込まれますが、除き穴から見ると、それは美しい足をした若い娘の姿でした。
若い娘に言われた病院に行くと、そこには医者と看護婦が待ち受けていて、看護婦から麻酔薬を注射され手当てを受けているうちに、ぼくは箱男の知り合いのふりをして箱を5万円で売る約束をしたのです。
どうしてただの箱に5万円も支払われるのか疑問に思ったぼくは、その晩に箱男の姿で病院に向かい、電気の灯った部屋を鏡を反射させて覗くと、そこには「贋箱男」の前で裸になった看護婦の姿を目にしたのでした・・・